#:g1: HyperSpecに登場するCommon Lisp処理系を集めてみた

Posted 2022-05-05 15:30:44 GMT

HyperSpecはANSI規格部分と規格成立までのイシューをまとめた部分とがありますが、イシューまとめ部には様々な処理系が登場します。
HyperSpec序文に登場する歴史的な処理系名と合せて、HyperSpecに登場する処理系をまとめてみました。

A-Lisp

ユタ大学で作成されていたStandard LispベースのCommon Lisp処理系のようですが詳細は不明です。ユタ大学の文献でたまに目にするような?

Austin Kyoto Common Lisp (AKCL)

オースティン大学でメンテナンスされていたKCLです。 後のGCLの元になりました。

Allegro Common Lisp

別名: Extended Common Lisp (ExCL)

現在も健在のAllegro Common Lispです。

CMU Common Lisp

現在も健在のCMUCLです。

Chesnut Lisp-to-C Translator

Common LispからCへのトランスレータです。主に組み込み用途だったようですが、CLtL2あたりの機能までカバーしていたようです。

Golden Common Lisp

別名: GCLISP

Gold Hill社が1984年あたりから販売していた、Intel PC上で稼動したCommon Lispです。 フルセットのCommon Lispをサポートしたのは結構後(90年代)の様子。

HP Common Lisp

別名: HPCL-I

HPが販売していた、Standard LispをベースにしたCommon Lisp処理系です。ユタ大学と共同開発していたようでエコシステムはPortable Standard Lispと共用だったりするようです。 後にHPは、Lucid社の処理系をOEM販売するようになるので、区別するためにIが付いていると思われます。

Ibuki Common Lisp

KCLを商用サポートで販売していたIbuki社の処理系

IIM Common Lisp

Integrated Inference Machinesが作製していたLispマシン上のCommon Lispです。 1986年のAAAIでお披露目されたようですが、殆ど情報がありません。 しかし、CLtL2相当の機能が実装されていた様子なのと、バージョンが3.4の記載があるので、地道に開発が進んでいたか、どこかで運用されていたのでしょうか。

Kyoto Common Lisp

ご存知KCL。オブジェクトシステムは搭載していないのでCLtl1の機能についての話のみです。

Lambda Common Lisp

LMI Lambda上のCommon Lispです。実際の所Lambda CLと呼ばれていたのかは微妙ですが、LMIのドキュメントにちょっと記載があります。

Lucid Common Lisp

別名: Sun Common Lisp

Symbolicsと共に登場回数が非常に多いLucid CLです。
Lucid社はOEM戦略をとっていましたが、Sunのワークステーションとのセットがもっとも普及していた様子。
4.1というバージョンは倒産間際のバージョンですが、ANSI CL規格の成立とLucid社の倒産がほぼ同時期なのが無常です。

Macintosh Common Lisp

別名: Coral Common Lisp 別名: Macintosh Allegro Common Lisp (MACL)

Coral→Franz→Apple と渡り歩いたため名称の変遷があります。 現在のClozure CLのご先祖です。

NIL

序文に登場するのみです。

PSL/PCLS

PCLSは、Portable Common Lisp Subsetの頭字語です。 PSLとあるように、ユタ大学で開発されていました。

Poplog Common Lisp

サセックス大学で開発されていた、Poplogという様々な言語が動く環境上のCommon Lispです。
現在はバーミンガム大学で開発が続けられているようです。

Symbolics CLOE

SymbolicsのLispマシンのアプリをIntel PC環境に出荷するための環境です。 Lispマシンは高価なので、開発はLispマシンで行ない、アプリは廉価な環境で実現するというニーズに応えたもの。 ちなみにCLOEだけでも、それなりに開発はできたようです。

S-1 Lisp

S-1スーパーコンピュータで稼動したCommon Lispの前身のような存在です。 NILのコードがベースになっている様子で、S-1 NILとも呼ばれます。

Spice Lisp

Common Lispのベースになった処理系の一つで、後にCommon Lisp化しました。 CMUCL、SBCLの祖先。

Symboics Common Lisp

別名: Genera

Symbolics LispマシンのGenera環境のCommon Lispです。 Symboics Common Lispという処理系名の筈ですが、Gereraと記載されていることが殆どです。 登場回数も非常に多く、Common Lisp規格にも結構な影響を与えていそうです。

TI Common Lisp

別名: Explorer

テキサスインスツルメンツ社のLispマシン: TI Explorer上のCommon Lispです。
Sybolics Gereraもそうですが、処理系名よりシステム(OS)名で記載されているようです。

Utah Common Lisp

別名: UCL

ユタ大学のCommon Lispです。 Standard Lispベースのようで、HP Common Lispや、A-Lisp、PCLS等と関連が深いようです。

VAX LISP

DECのVAXで稼動したCommon Lispです。
商用処理系としては古参。

WCL

アプリのランタイムとして利用されることを主眼とした処理系です。

Xerox Common Lisp

別名: Envos Medley

LispマシンのInterlisp-D上のCommon Lisp。後にEnvos社に譲渡されました。

まとめ

HyperSpecのイシューでしか目にしない処理系もあったりするのですが、規格の改善には人知れず役に立ったりしているような所が面白いですね。


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