Posted 2020-12-24 20:30:34 GMT
Lispの調べ物をしてインターネットを彷徨っていたところ、井田昌之先生が公開されている歴史的資料のページに辿り着きました。
なんとCommon Lisp系を中心として歴史的な資料が満載ではないですか。
下記にLisp系の資料を抜粋したリンクを適当なコメントと共に並べてみます。
1970年代は、Lisp 1.5 との出会いから、Intel 8080上で動くLispマシンである、ALPS/Iの開発を中心に研究されていたようです。
所謂マイコンといわれていたCPU上でLispを動かす研究としてはかなり初期の取り組みではないでしょうか。
1980年代前半は、ALPS/Iの開発と並行して当時擡頭してきたAIマシン(Lispマシン)も研究されていたようです。
1984年にCommon Lispが登場しますが、それまでのマイコンLispの研究をバックグラウンドに、Common Lispのサブセットを検討されたり、Common Lispのオブジェクトシステムについて研究をされていたようです。
1986年あたりから電子メールを基盤とした議論について等も研究されている様子、また、ISO版Lispについての議論が盛り上がりつつあったことが判ります。
ANSI CLに取り込まれる予定のCLOSがかなりまとまった頃で、CLOS的にはかなり熱い時期だったようです。
ネットワーク透過なウィンドウツールキットであるYYonXの研究、ヨーロッパで擡頭してきた米国Common Lispへの対抗馬であるEuLisp等が熱い時期だったようです。
ワークステーション文化も花盛りという感もあり、キャンパスネットワーク等の研究もされていたようです。
この辺りからLisp関連の研究は一段落され、当時擡頭してきたJavaの方に研究の軸足を移された様子。
また自由ソフトウェア運動の紹介等もされていたようです。
Emacsでは、レキシカルスコープは遅いのでダイナミックスコープを採用した、というのが通説ですが、この下記のインタビューではレキシカルスコープは速度と名前の競合回避には良いが、実装が簡単なのでダイナミックスコープを採用したとありますね。
レキシカルスコープは遅い説はどこが出所だったかな(History of T)だったような。
まだまだ資料を全部は読み込めていないのですが、1980年代後半のCLOS系の資料や、Lispの国際規格化での各国の思惑等が伺える資料はかなり貴重だと思います。
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