#:g1: Lispとエディタ (7)

Posted 2015-07-27 15:05:05 GMT

 今回は、2000年代のLispとエディタについて書いてみようと思います。といっても、トピックはほぼ無い感じなのですが、RedditでドイツのJoswigさんより色々と有益な情報を頂いたので、それを紹介しつつ終わりにしたいと思います。

WindowsプラットフォームでのIDEのエディタ

 2000年にもなると大分Windowsが世の中を席巻していましたが、LispベンダーのFranzとHarlequinもWindows版にはIDE付きのものを用意します。
HarlequinのLispWorksは元々あったIDEをWindows対応にし、Franzの方は、ExperTelligence社のProcyon CLという処理系を買収し、そのGUI環境を既存の環境と組み合わせたとのことです。
Procyon CLの紹介を眺めると、GUIのツールキットにCommon Graphicsとあり、現在のAllegro CLもCommon Graphicsなので、この辺りを吸収したのかなあと想像しています。

また、時代がちょっと戻りますが、DOSからWindowsに掛けてGoldhill社が出していた開発環境のGolden Common Lispは最高という話です。Typoだったみたいで、「最高というわけではなかった」に訂正になったみたいです。
確かに色々充実しているっぽいですが、一度触って確かめてみたい所です。

Goldhill社のLispといえば、Bit 1986年9月号には、「サンマルコLISP探検隊」という記事があるのですが、この中で、DOS版のGCLispの紹介があります。
サンマルコLISP探検隊というのは、Winston教授が作った会社が開発したLispのCAI(computer-assisted instruction)教材ということで、Lispの初歩から人口知能ツールの作成までを探検できるようなつくりだそうです。
また、エディタもGmacsというEmacsが用意されていたようですが、DOS時代にしてはなかなか良さそうな作りです。
他、Bit 1987年9月号、10月号とGoldhillのLisp特集があったりしますので、興味のある方は参照されると良いかと思います。

SLIME

 閑話休題。現在CLerにお馴染のSLIMEは、Common Lispの開発環境ですが、エディタという括りでいえば単にEmacsです。
2003年に開発がスタートし、今ではCommon Lisp開発ツールとしてはかなりのシェアを占めていると思います。
CL側でサーバを立てて、Emacs側と通信するという方式の為、vim等のクライアントも出ています。

大体、SLIMEの特長とされるのは、

位ですが、大体の所は、Lispマシン時代からの開発環境の流れを継承したものという感じです。

ただし、

辺りについてはCPUパワーのお蔭なのか大分快適になっている気がします。

Light Table

2012年に颯爽と登場したLight Table。
当初Clojure向けということでしたが、その後JavaScript等にも対応し、開発が進む程なんとなく普通のエディタになってしまった感があります。
CPUパワーを要求するような見た目が格好いい機能は搭載されていますが、Lispエディタとしての本質的な改善/飛躍のようなものは無い気がしています。

まとめ

 7回にも分けて書いてみましたが、特に計画もなくその都度書いているので、まとまりが無いものになってしまいました。
1980年代位からのエディタの立ち位置は、IDEの一部としての性格が強くなるため、エディタという括りとしては、1980年代あたりで終了してしまっても良かったかなという気もしています。

大きな流れとしては、処理系+エディタというコンビがIDEとして洗練され、その洗練された文化がその後発展することもなく、若干の痕跡を残すのみで90年代のAIの冬とともに消え、再び処理系+エディタで使うのが一般的になる、という感じでしょうか。

単体のツールに焦点を絞って歴史を辿ってみるのもなかなか面白いので、そのうち今度はエディタではなく単体のツールで(トレースやステッパー等)似たようなことをやってみたいと思います。


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