Common Lisp と タイムゾーン と Zetalisp — #:g1

Posted 2017-12-04 15:00:01 GMT

Lisp Advent Calendar 2017 五日目です。

Common Lisp は移動体上でのタイムゾーンを意識して設計されている?

Common Lispのタイムゾーンについては移動体のことを考慮し、定数になっていないというような話が前々から気になっていたので、実際のところどうなのだろうと思って調べてみた。

元ネタ

多分、元ネタはCLtL2なんだろうと思うので検索してみると、CLtL2のget-decoded-timedecode-universal-timeの注釈にある、

Compatibility note: In Lisp Machine Lisp time-zone is not currently
returned. Consider, however, the use of Common Lisp in some mobile
vehicle. It is entirely plausible that the time zone might change from
time to time.

だと思われる。

この注釈の解釈だけれど、Common Lispがタイムゾーンを意識してどうのこうのしたというよりは、互換性にかこつけて、Zetalispがタイムゾーンを返さないことについて細かいツッコミをいれているように思えるのだがどうだろうか。

CLtL1も確認してみたら、同様の記述だったので、1984年時点の認識らしい。

移動体であればCommon Lisp処理系は結局ホストのOSかどこかからタイムゾーンの情報を貰ってくることになるが、基盤となるuniversal-timeは1900-01-01T00:00Zからの秒数なので基本的にこれが動くこともなく、どこのタイムゾーンとしてデコードするか、という話になる。
ちなみに、今どのタイムゾーンにいるかを処理系がホストと通信したりして把握する手順/機構のようなものはCommon Lispの規格上には定義されていない。

文句を付けられていたZetalisp(Lisp Machine Lisp)は実際どうだったのか

それで、実際Zetalisp(Lisp Machine Lisp)がどうだったのかをソースで確認してみたが、1982年頃のSystem 78.48では確かにタイムゾーンは返していなかった。
しかし、1984年のSystem 99のソースとその時期のマニュアルであるChinual 6ではタイムゾーンを返すようになっているので、CLtL1が出版された前後で既にCLtL1のZetalispとの互換性の注釈は、時代遅れなものになっていたらしい。

1984年は、MIT LispMもCommon Lisp化した時期なので、ZetalispがCommon Lispを取り込んでしまった、もしくは、ZetalispがCommon Lisp化した、とも考えられるので微妙ではあるが……。
1983年のChinual 5を眺めるとまだタイムゾーンは返していないようなのでCLtL1執筆時のツッコミがChinual 6に影響したのかもしれない。

しかし、1990年に出版されたCLtL2でも、この趣味的な記述がアップデートされることもなく、Zetalispはタイムゾーンを返さないといわれっぱなしで今に至ることになったらしい。

ちなみに、Zetalispでもuniversal-timeへのエンコードについては1980年より前からタイムゾーンは指定する仕様になっているので、デコードされたuniversal-timeから元のuniversal-timeが復元できない非対称性についてのツッコミであったかもしれない。

まとめ

Lisp関係の伝説においては、誰も気にしないので検証もされないような趣味的なものが延々と語り継がれることって多い気がする。
折角なのでスマホ上の処理系でGPSからデータを取得してuniversal-timeをデコードするようなものがあったら面白いかもしれない。


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