Common Lispのお宅拝見: Clozure Common Lisp篇 — #:g1

Posted 2017-05-17 15:54:53 GMT

今回は、Clozure Common Lispのcl-userを眺める。
Clozure CLの系統の歴代の処理系を眺めてみたが、どうやら、cl-userの構成は、Macintosh Common Lisp 2.0(1991)で大まかな所が決まったようだ。

Clozure CLの系統の大まかな流れとしては、1987年にCoralがCoral Common Lispを発売し、間も無くFranzと共同で販売することになり年内に、Macintosh Allegro Common Lisp(MACL)となる。

1991年にMCL 2.0となるが、この頃の販売元はAppleで、言語仕様は、この頃出版されたCLtL2を追い掛けたものとなっている。

CLtL1の仕様では、基本パッケージとして、lispusersystemが必須だったが、ANSでは、common-lispcommon-lisp-userとなり、systemは必須ではなくなった。
名前が変更になった理由は、CLtL1仕様とそれ以降の仕様を一つのイメージに同居させるため等々だったようだが、実際には、lispパッケージをclパッケージという名前にしてしまうことが多かったようだ(Allegro CL、LispWorks等)。

しかし、MCLでは、このLISP-PACKAGE-NAME:COMMON-LISPにきっちり対応したようで、MCL 2.0でばっさりとlispuserを廃止して新しい名前にし、旧パッケージは、(require 'lisp-package)で読み込むようになっている。
(なお、これは現在のClozure CLでも同じ。)

関数の仕様の変更もしっかり反映しているので、

(cl:functionp 'list)
→ nil

(lisp:funcionp 'list) → t

のようにLISP-PACKAGE-NAME:COMMON-LISPで検討されていたことが、そのまま実現できている。

このように対応した処理系は、MCLの他にSymbolics CLがあるが、現在CLtL1時代のコードを動かそうとすると、きっちり分かれていた方が可搬性が高いようだ。

当時は移植性を考えてずるずるとlispclと移行した処理系が多かったのだと思うが、結局、前後の仕様が混ざる結果となり、移植性が損なわれることになったように思える。

ちなみに、1.0系統で利用されていたDresher氏が設計したオブジェクトシステムのObject LISPは削除されMCL 2.0からCLOSが搭載されることになった。

cl-userパッケージの構成

さて、CCL系統がdefpackageした時にデフォルトでuseされるパッケージは、clccl

(defpackage :foo)
→ #<Package "FOO">

(package-use-list :foo)(#<Package "CCL"> #<Package "COMMON-LISP">)

cclパッケージは、もともとcoral clの略なのだと思うが、MCL時代もそのまま使われ続け、さらに、Open MCLが処理系名を変更する際には、cclを活かしてClozure CLとしたので原点回帰した。

そのcclパッケージだが、700〜1000を越えるシンボルがエクスポートされている。
古くからある他の処理系と同じく、かなりのごった煮パッケージだが、ユーティリティや処理系拡張が占めている。
さらにMCL時代は、FREDというEmacsが同梱されていて、これがcclパッケージにいるので、これが大分大きくしているようだ。

MCL 2.0位の時期は、処理系拡張はとにかくcclパッケージに入れるという感じだったようだが、Clozure CLでは、多少分別されるようになったらしい。

また、今回も恒例のユーティリティに定義されていることが多いtruefalseの調査を実施。
確認できる限りでも、Macintosh Allegro Common Lisp 1.2.2(1989)時代からCCLパッケージに存在するらしい。

(mapcar #'true lambda-list-keywords)(t t t t t t t t)
(mapcar #'false lambda-list-keywords)(nil nil nil nil nil nil nil nil)

結び

現在のClozure Common Lispの源流であるCoral Common Lispが登場してから30周年らしい。
Spice LispがIBM RT PC上のMachに移植されCMU Common Lispとなったのが1987年、Allegro CLの最初の実装(TEK Common Lisp)が1986年、最初のCLISPが登場したのが1987年、のようだが、現在も生き残っている処理系が続々と30周年を迎えている。
そもそも生き残っているというのが凄いが。


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